日本初X線自由電子レーザー(XFEL)施設完成/理研

by Digitized Information on 2011年4月1日金曜日





3月29日、理化学研究所と高輝度光科学研究センターが、協力して日本発のX線自由電子レーザー(XFEL)が設計計画通りの80億電子ボルト(8GeV)で運転させることに成功した。この施設は隣接しているスプリング8(大型放射光施設)の10億倍という極めて明るい光を生み出せるのが特徴だ。これは国家基幹技術としての位置づけにある装置だ。
この光を使うと原子の世界を詳細に映しだすことが可能になり、例えばタンパク質の構造などを1分子ごとに解析したり、化学反応の過程を直接観察することができる。

既にスプリング8で8GeV の電子ビームでは遠赤外から波長の短い真空紫外線というX 線ビームの発振は成功しており材料/生命科学の研究に利用されている。そして2006年度から5年間の計画で特定の波長において、放射光よりも高い輝度を持った光を得ることができるレーザーの利用を考察し研究開発を進めて来た。レーザーは位相がそろっているし干渉も高いが、レーザー媒質がないので開発は困難を極めた。
そしてついに長尺のアンジュレータという磁石列が上下に並んだ装置(全18 台)を開発して、そこへ高エネルギー電子ビームを複数の工程を通して、高レーザーを生成しながら微調整を経て最終的にXFEL 専用に開発された2 次元検出器で計測した結果、2011 年3 月23 日の実験で波長が0.8ÅのX線の発生を確認できたという。なお、この装置は一般から名称を公募し「SACLA(さくら)」と決定している。正に桜の蕾が開いた季節に合わせたようだ。今、この辛い時期にこそ、この強い光で私達日本人の心も明るくしたいなと感じる。
■理研XFELサイト
■XFELとspring8のイメージCG動画(rikenchannel)

(プレスリリース)わが国初のXFEL施設が完成−愛称は「SACLAさくら」
※XFEL→X-ray Free-Electron Laserの略
※Å→Angstrom(オングストローム)100 億分の1 メートルを意味する。原子の大きさはほぼ1Åである
※アンジュレータ→N とS の磁極を交互にハーモニカのように上下に配置して、その間を通り抜ける電子を周期的に小さく蛇行させて明るい特定の波長を持った光を作り出す装置。

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